ケーススタディ:HID機器性能の自動化テスト

Nextgen | 2022年6月29日 | ケーススタディ

HID機器の歴史を説明し、OEM機器メーカーがその製品寿命期間にわたって正確に動作するか自動化テストを利用して確認する方法を見てみましょう。

「HID自動化テストと協働ロボットを使用して、人間によるHID機器の操作をシミュレートすることで、従来の手動テストに比べ高性能キーボードの正確な特性を確認することができます。 」

製品開発エンジニア、キーボードOEMメーカー、中国深セン

keyboard hands

はじめに

パソコンの発明以来、マウスとキーボードの機能は基本的に変更されていません。これは、当時の技術者と設計者がパソコンユーザーのニーズを包括的に解決できる先見の明と創造性を持っていた証です。

私たちが移動性をますます高めるにつれて、これらの機器を接続するワイヤーとケーブルは、バッテリーの統合と充電システムを必要とする無線接続に置き換えられました。そして多くの場合、環境に影響を与える使い捨て電池が使われています。

また、充電システムを使用する場合、無線機の電力消費により製品を頻繁に充電が必要です。現在、Bluetooth Low Energy (BLE)などの次世代無線規格の登場につれて、HID機器の設計と動作を再定義する必要があります。

私たちは、低消費電力無線技術がバッテリー統合の必要性を大幅に減らせると予想しています。 HID機器は、動作時に発生する自己運動エネルギーを利用したり、熱や光などの環境から十分な電力を得て効率的に駆動することも出来ます。

このケーススタディでは、エンドユーザーが直面する課題とユーザー体験を向上させるための革新的な性能テスト法を紹介します。

mouse hands keyboard

低消費電力HID機器が直面する動作面での課題

IoT(モノのインターネット)の出現により、私たちの環境内で多くの機器が無線技術で接続されています。 したがって、低消費電力ワイヤレスソリューションの導入で直面する課題を定義することは非常に重要です。 周波数スペクトルの混雑と周辺機器からのエネルギースパイクによって、機器の動作が中断されることは避けられません。 重要なのは、混乱を最小限に抑え、エンドユーザーが認識できないようにすることです。

通常、低消費電力HID機器は、周囲の影響のない孤立状態ではうまく機能します。これは通常、業界標準に準拠し、RF輻射条件を満たすことに重点を置いた認証テスト環境です。

しかし、実際のユーザー環境では、HID機器はオーディオトランシーバ、ビーコン、メッシュネットワーク、および携帯電話やタブレットに加えて、Wi-Fi APなどの無線信号スペクトルで動作するさまざまなシステムによって囲まれています。私たちの周辺の無線環境は複雑になっており、製品はこれに合わせて無線環境の「ストレス」に耐える設計が必要です。

低消費電力HID機器に関連する性能テストの課題

低消費電力HID機器は、省エネと高性能のバランスをとるよう設計されています。設計が消費電力を最大化する方向に偏向すると、ウェイクアップ時間と応答性(待機時間)が低下する可能性があります。同様に、性能を最適化すると、バッテリー寿命に悪影響を及ぼします。

HID機器の応答性を良く理解するために、数千回もの動作テストを幅広いストレスサイクルで実行することが重要です。これにより、製品寿命ま使用される機器動作を理解するのに役立つ性能データを提供します。

製品性能は、同一環境内の他の無線製品やシステムで発生するRF輻輳電界の影響を受ける可能性があります。この場合、Pingを含む連続または動的なトラフィックを含む、より現実的なRF環境をシミュレートすることが重要です。 RF減衰器を使用して干渉するRF信号レベルを調整し、より現実に近い信号を生成できます。

これらの設定により、さまざまなRF条件で機器性能をモデル化し、相対性能を判断できます。また、これらのテストで同様の機器を使用する、競合他社製品のベンチマークもできます。

Slide1

低電力HID製品の自動パフォーマンステスト

HID機器の性能を高品質レベルで確保するには、エンドユーザーの状況を反映してテストを実行する必要があります。

HID機器のキーを3万回押下するか、1万回のドラッグ&ドロップテストを手動で進めることは現実的ではありません。これにはより一貫して繰り返し実行できるテストツールが必要で、そのツールは、各テストサイクルに失敗したテストケースが発生時、エアログを自動取得する必要があります。以下は、自動化テストツールを使用してストレステストを実行することで製品設計を検証し改善した事例です。


mouse cobot test

マウスの遅延性能のストレステスト

製品テスト部門は、自動化テストプラットフォームを使用して1000回のドラッグ&ドロップテストを実行することで、ワイヤレスマウスの平均待機時間を確認できました。ドラッグ&ドロップテストは協働ロボットを用いて行われました。そして、このようなテストは、ラミネート木材や石英作業台などさまざまな材料の表面で行われました。製品設計チームは、ビデオ、Bluetooth分析ログなど、各ドラッグ&ドロップ動作に対する応答性能を確認するデータを取得しました。

テスト結果

テストデータを分析した結果、ドラッグ&ドロップ動作の約5%が目標範囲外であることが確認されました。これにより、開発チームはドラッグ&ドロップ機能の待ち時間を改善するために新しいファームウェアへの更新を決定しました。

 

ワイヤレスゲーム機用キーボード性能のストレステスト

オンラインゲームは、一部の人にとって非常に重要です。ゲーム中に使用されるHID機器は、ゲーム体験を最適化するため高品質の性能を保証する必要があります。キーボードなどの製品機器は、キー押下動作とビデオ画像との同期が必要なため、高い応答性能の確保が非常に重要です。

ゲーム進行中、プレーヤーは通常4〜5個のキーを使用します。自動化テストにより、それぞれ異なるデューティサイクルで4万回程度動作した5つの主要なキーに対するストレステストを行いました。また、このテストでキーボードのデバウンス性能を確認しました。


テスト結果

テストデータによると、状況によってデバウンス性能が可変的で、追加ソフトウェアの最適化が必要であることが確認されました。

「Nextgen ATAM自動化テストを使用すると、QAテストチームは協働ロボットを使用して実際の人間による相互作用をシミュレートでき、プログラミングなしで複雑な実際のハードウェアテストを実装できます。」

リチャードグリーン、自動化テストエンジニアリングマネージャー、Nextgen

 

Nextgen自動化テストサービスの詳細をご覧ください。当社の専門家に相談することができます

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