手動テストと比較した場合の製品の自動化テストの優位性

今日のネットワーク機器には、効果的かつ包括的なテストが不可欠です。モノのインターネット（IoT）が広く採用されるにつれて、インタラクティブなデバイスに対する要求は高度化し、ユーザーは完璧な相互運用性を期待しています。このことは、コンポーネントや接続に関する問題やソフトウェアのバグを、製品リリース前に迅速に検出し修正する必要があることを意味します。

自動化テストの導入が、近年大幅に進んでいます。特にCI/CD（Continuous Integration and Continuous Delivery）手法の台頭により、品質保証は後追いでなく、開発プロセス全体を通して行われるようになっています。また、システムの相互運用性が広範囲に及ぶ中、全体の安定性と品質を確保するために自動化テストが求められています。

では、製品テストを自動化することで、手動テストと比較した場合の主な利点は何でしょうか?

コストの削減

多くのエンジニアはいまだに、自動化テストは手動テストよりもコストがかかると考えていますし、場合によってはその通りです。しかし、これは短期的な思考の結果である可能性があります。確かに、手動テストの初期設定は迅速かつ安価であることが多いが、長期的に見れば、費用対効果で自動化テストが勝ることは明らかである。

自動化テストは投資の一つと言えます。自動化テストの設定には、プロセス、テストスクリプト、トレーニング、エンジニアリングプログラムへの統合など、詳細な分析と更新が必要です。これには多大な労力がかかるため、手動プロセスにこだわりたくなる気持ちは理解できます。しかし、一度セットアップすれば、自動化テストの費用対効果(ROI)は時間とともに改善されます。

手動テストでは、各テストで固定コストが発生します。しかし、自動化テストにより、規模の経済性を高めることができます。テストは必要なときに何度でも実施することができ、追加的な設定作業やコストもかかりません。

時間の節約

自動化テストの標準化により、時間とコストの削減が可能になります。ルーチンが反復的であっても、手動テストに必要な労力のレベルは、プロジェクトのマイルストーン達成時にのみテストを実施することが可能であることを意味します。さらに、テストには専用のチームリソースが必要です。

これに対し、自動化テストは継続的に実施することができます。スタッフのリソースを追加する必要はありません。つまり、開発サイクルを短縮し、アップデートを頻繁に行うことで、最終的に製品の市場パフォーマンスを向上させ、新たなエコシステムの変化に対する耐性を改善することができます。

生産性の向上

自動化テストは、手動で介入することなく、バックグラウンドで実行されるように簡単に設定できます。これにより、QAエンジニアの日常業務が軽減され、発見された問題の分析、プロセスの改善、より複雑なユーザーの不測の事態への対応などに、より生産的に時間を費やすことができるようになります。

同様に、エンジニアはシステムや製品の改良に集中することができます。継続的な開発と統合を可能にする自動化テストにより、エンジニアはより合理的な方法で作業できるようになります。エンジニアは、自分たちの作業が後々まで問題や非互換性を引き起こさないという確信のもと、製品の改善や修正に集中することができるのです。自動化テストにより、エンジニアは問題解決やバグフィックスに費やす時間が増え、開発者は自分たちが好きなこと、つまり革新や改良にもっと時間を費やすことができるようになります。

正確性の向上

手動テストは、どんなに優れた手法であっても、100％正確で間違いのないテストはできません。更に、手動テストでは、発生頻度の低いバグやその他の問題を簡単に見逃してしまうことがあります。最悪の場合、発生頻度の低いバグや問題がリリースされてしまう可能性もあります。たとえリリース前にエラーが検出されたとしても、デバッグの手間や、手間のかかる手動テストスイートの実行を繰り返すことによる遅延につながる可能性があります。このようなシナリオは、QAエンジニアの悩みの種である。

一方、自動化テストは一度開始すれば、人手による作業を大幅に削減し、24時間365日稼働し続けることができます。発見されたバグが修正されているかどうかを迅速に評価し、回帰がないことを確認します。

即時のフィードバックが可能

最近の開発では、迅速なリリースサイクルが要求されるため、即時のフィードバックは非常に貴重です。手作業によるテストには時間がかかり、人的リソースも必要なため、バグ報告や製品性能に関する懸念がQAからエンジニアに伝わるまでに数日から数週間かかることがあります。深刻なエラーの場合、開発を中断し、分析と修正のためにプロジェクトの作業を巻き戻さなければならないことを意味します。このような非効率性は、製品リリースの遅れにつながり、スタッフが継続的な作業の流れを効果的に計画することを難しくします。

ソフトウェアと製品ファームウェアに関しては、開発者がコードベースに変更を加える度に自動化テストを実行するよう設定することができます。これにより、製品機能や適切な相互運用性の成功について、即座にフィードバックすることができます。自動化されたインクリメンタルテストも、CIには欠かせません。これにより、開発者はバグ報告の遅れによってタスクの切り替えをすることなく、1つの機能分野に集中することができる。このような作業方法は、より効率的で信頼性が高く、より安定した製品を生み出すことができる。

テスト量の増大が可能

自動化テストは、繰り返しテストの頻度が高いだけでなく、異なるプラットフォームやセットアップを横断する大量テストを促進します。複雑な製品では、相互運用性のバリエーションが無数にあるため、大量のテストシナリオが必要となり、手動テストでは非常に手間がかかる場合があります。しかし、自動化では、テストの複雑さと同時並行性を容易に扱うことができます。

自動化されたテストプロセスは、多数の異なるオペレーティングシステム、ファームウェア構成、またはハードウェアプラットフォームで同時に実行されるように構成される場合があります。これにより、完全なテストカバレッジが容易かつ迅速になり、テストプラットフォーム間の手動切り替えによって発生する不正確さの可能性を低減することができます。

バランスの取れたアプローチが可能

自動化テストと手動テストを比較検討する際には、バランスの取れた図式を提示することが重要です。自動化テストが、製品の速いリリースサイクルや複雑な相互運用デバイスに必要な反復テストのために有益であることは間違いありません。しかし、手動テストの役割も依然として重要であり、完全に排除する必要はありません。自動化テストは予測可能なシナリオに対しては大きな効率をもたらしますが、非常に動的な状況や予測不可能な状況に直面した場合には、あまり適さないかもしれません。

例えば、予期せぬテスト結果が発生した場合、手動テストエンジニアが状況を把握し、さらに情報を収集する方が早い場合があります。自動化テストは、1つのテストを何度も実行する必要がある場合に有効ですが、1回限りの探索的テストが必要な場合には、手動テストが依然として有効です。このように、手動テストと自動化テストは補完的な関係にあります。

とりわけ、システムの使用における人間の要素は、完全に予測できるものではありません。自動化テストは、QA専門家が考えたすべての変数を処理するようにスクリプトを作成することができます。しかし、実世界での使用は常に私たちを驚かせることがあります。このような場合、手動テストは、新しいテストケースの実施と設計を支援し、それらを更新された自動化テストシーケンスに組み込むことがより容易にできるかもしれません。

次のステップ

自動化テストソリューションを製品開発に組み込むことは、競争力のあるポジションを維持するために不可欠になっています。複雑な相互運用性デバイスの分野でのビジネスの成功は、製品開発とQA戦略の一環として自動化テストを使用することにかかっていると思われます。自動化テストに関する詳細や、お客様のプロジェクトに最適なテスト手法の選択に関するサポートについては、弊社までお問い合わせください。